「言うは易く行うは難し」と「言うは易し行うは難し」は、どちらが正しいのか迷うことがありますよね。
意味は通じそうでも、メールや資料など文章として残る場面では、定着している表記を選びたいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、一般的な定型表現とされる表記、読み方と意味、なぜ「易く」と書くのかをわかりやすく解説します。
由来や自然な使い方、相手に伝える際の注意点にも触れるので、言葉を正しく、気持ちよく使いたいときの参考にしてください。
この記事でわかること
- 「言うは易く行うは難し」と「言うは易し行うは難し」の違い
- 「言うは易く行うは難し」の読み方と意味
- 「易く」と「難し」で形が異なる理由
- 日常会話や仕事での自然な使い方と注意点
正しい定型表現は「言うは易く行うは難し」

ことわざとして一般的に用いられる定型表現は、「言うは易く行うは難し」です。
「言うは易し、行うは難し」と書いても大意は伝わりますが、慣用句として書くなら「易く」を選ぶのが無難です。
とくに文章として残る場面では、広く定着している表記にそろえると、読む人に意図がスムーズに伝わります。
| 表記 | 扱い | おすすめの場面 |
|---|---|---|
| 言うは易く行うは難し | 一般的な定型表現 | 文章、資料、メール、見出し |
| 言うは易し、行うは難し | 意味は通じるが、定型表現とは少し異なる | 会話、引用ではない説明文 |
「言うは易し、行うは難し」でも意味は通じるが定型表現とは異なる
「言うは易し、行うは難し」は、前半と後半が並んだ分かりやすい表現なので、見聞きしたことがある人も多いかもしれません。
ただし、ことわざや格言として決まった形で示す場合は、「言うは易く行うは難し」が基本です。
「易し」は、ものごとが簡単であることを述べる形として自然な言葉です。
一方で「易く」は後ろの「行うは難し」へつながる形になっており、古くから伝わる言い回しのリズムにもなじみます。
つまり、二つの表記は完全に正誤だけで切り分けるよりも、定型表現として使うかどうかで選ぶと分かりやすいでしょう。
たとえば、自分の考えを説明する文の中で「計画を立てるのは易し、実際に続けるのは難しい」と表現することは不自然ではありません。
しかし、ことわざそのものを引用するなら、「言うは易く行うは難し」とするほうが、読み手に引用だと伝わりやすくなります。
- ことわざとして紹介する場合:言うは易く行うは難し
- 自分の言葉として対比を作る場合:易しを用いた表現も可能
- 表記に迷う場合:定型どおり「易く」を選ぶ
なお、「言うは易く、行うは難し」のように読点を入れる書き方も見られます。
読点の有無でことわざとしての扱いが変わるわけではないため、文章全体の読みやすさに合わせて整えて大丈夫です。
見出しや短い引用では読点を省き、本文では読みやすさを考えて読点を入れる、といった使い分けもできます。
辞書やビジネス文書では「易く」を使うのが無難
辞書、書籍、慣用句の一覧などでは、「言うは易く行うは難し」の形で掲載されることが一般的です。
そのため、社内資料や提案書、案内文、記事などでは、定着した「易く」を使うと安心です。
表記が統一されていると、内容そのものに目を向けてもらいやすく、細かな表現の違いで読み手を迷わせにくくなります。
とくにビジネス文書では、ことわざを印象的な一文として使うことがあります。
その場合は、独自に言い換えるよりも、広く知られた形をそのまま用いるほうが落ち着いた印象になります。
| 場面 | おすすめの表記 | 考え方 |
|---|---|---|
| 企画書・報告書 | 言うは易く行うは難し | 慣用句としての表記をそろえやすい |
| 取引先へのメール | 言うは易く行うは難し | 引用表現として自然に読まれやすい |
| 社内チャット | 基本は「易く」 | くだけた文でも表記の迷いを減らせる |
| 会話 | どちらでも意図は伝わる | 発音上の違いは目立ちにくい |
ただし、定型表現を使うこと自体が目的にならないよう、文脈に合っているかを確認することも大切です。
少し硬く感じる場面では、ことわざを使わずに、具体的な状況を自分の言葉で伝えるほうが親しみやすい場合もあります。
表記で迷ったときは、「定型句として引用するなら易く」と覚えておけば十分です。
「言うは易く行うは難し」の読み方と意味

「言うは易く行うは難し」は、「いうはやすく、おこなうはかたし」と読みます。
意味は、口で言うことは簡単でも、実際に行動へ移して続けることは難しいということです。
目標を掲げたり、改善案を考えたりする段階と、それを形にする段階には大きな隔たりがあることを表しています。
読み方は「いうはやすく、おこなうはかたし」
読み方は「いうはやすく、おこなうはかたし」です。
「言う」は「いう」、「易く」は「やすく」、「行う」は「おこなう」、「難し」は「かたし」と読みます。
普段の会話ではあまり耳にしない言い回しのため、「行う」を「おこなう」、「難し」を「かたし」と読む点を押さえておくと安心です。
全体を区切るなら、「いうは・やすく/おこなうは・かたし」と読むと、意味をつかみやすくなります。
| 語句 | 読み方 | 受け取れる内容 |
|---|---|---|
| 言うは | いうは | 口に出して述べることは |
| 易く | やすく | たやすく |
| 行うは | おこなうは | 実際に取り組むことは |
| 難し | かたし | 難しい |
現代の言葉に近づけると、「言うのは簡単だが、実行するのは難しい」と言い換えられます。
読み方が分かると、少し硬く見える表現でも、伝えたい内容は身近なものだと感じられるでしょう。
口で言うことより実行することのほうが難しいという意味
この言葉は、考えや意見を述べること自体を否定するものではありません。
むしろ、よい考えであっても実現するには、準備、判断、時間の確保、周囲との調整などが必要になることを示しています。
たとえば「生活習慣を整えよう」と決めることはすぐにできますが、毎日の予定を見直し、無理のない方法を選び、続けていくには工夫が求められます。
仕事でも、「作業を効率化したい」と話す段階と、現状を確認して手順を変え、関係する人と認識をそろえる段階では、必要な労力が異なります。
このように、言葉にすることと実現することの差に目を向けるのが、「言うは易く行うは難し」の中心的な意味です。
- 考えを述べることは比較的すぐにできる
- 実行には具体的な準備や判断が伴う
- 継続するには状況に応じた見直しも必要になる
そのため、この言葉には、行動の難しさを理解したうえで、発言だけで終わらせずに一歩ずつ取り組む大切さを考えさせる面もあります。
また、うまく進まない場面があっても、実行には見えにくい負担や調整があると捉えると、必要以上に自分を急かさずに済むことがあります。
大切なのは、立派なことを言えるかどうかではなく、できる範囲で具体的な行動に落とし込めるかどうかです。
「易く」は連用形で「難し」は文を結ぶ終止形

「言うは易く行うは難し」で「易く」と「難し」の形が異なるのは、二つの語が文の中で担う役割が違うためです。
「易く」は次の内容へつなぐ連用形、「難し」は文を終える終止形なので、「言うは易し行うは難し」とは書きません。
一見すると「言うは」と「行うは」が並んでいるため、後ろの語も同じ形にそろえたくなるかもしれません。
ただし、この表現は現代語の感覚だけではなく、古典文法の形を残した定型句として考えると、自然に理解できます。
「易く」は前半と後半をつなぐ形
「易し(やすし)」は、古語で「容易だ」「たやすい」という意味を表す形容詞です。
この「易し」が後ろの「行うは難し」へ続く位置に置かれるため、連用形の「易く」になります。
連用形とは、後ろに続く語や文につなげるための形です。
現代語でも「早く起きる」「美しく飾る」のように、「~く」の形で言葉をつなげることがあります。
「易く」も同じように、前半をそこで言い切らず、後半へつなぐ働きをしています。
| 語句 | 文法上の形 | この表現での役割 |
|---|---|---|
| 易し | 終止形 | 語の基本となる形 |
| 易く | 連用形 | 前半から後半へつなぐ形 |
| 難し | 終止形 | 文全体を結ぶ形 |
文の骨組みを簡単に見ると、次のようになります。
- 言うは易く
- 行うは難し
前半の「言うは易く」は、後半が続くことを前提にした形です。
そのため、「言うことは容易であり、それに対して、行うことは難しい」という流れになります。
ここでの「く」は、現代語の「難しく」のように単純に語尾を変えたものではなく、古典的な形容詞の活用によって生まれた形です。
文末の「難し」は終止形なので「難しく」にはならない
後半の「難し」は、このことわざ全体を言い切る文末の語です。
文を結ぶ位置にあるため、連用形の「難しく」ではなく、終止形の「難し」が使われます。
つまり、「易く」と「難し」は意味の対比だけで形を変えているのではなく、文中での置かれ方によって使い分けられています。
「難しく」は、後ろに動詞や別の内容が続く場合に用いる形です。
たとえば、「実行するのは難しく感じる」「難しく考えすぎない」のように、まだ文が続く場面では「難しく」が自然です。
一方で、「実行は難し」と文末で言い切るなら、「難し」という形になります。
| 表現 | 使われる場面 | 文の状態 |
|---|---|---|
| 易く | 後ろに内容を続ける | 途中でつなぐ |
| 難しく | 後ろに動詞や説明を続ける | 途中でつなぐ |
| 難し | 文末で述べる | 言い切る |
「易し」と「難し」を対にして覚えると、「前も終止形の『易し』にしたほうが整うのでは」と感じることもあるでしょう。
しかし、この定型表現では、前半は接続し、後半は結ぶという構造になっています。
したがって、表記を確認するときは、対になる言葉かどうかではなく、文の途中か文末かを見るのがポイントです。
「言うは易く行うは難し」は、古風な言い回しでありながら、活用の違いにもきちんと理由がある表現です。
由来は中国古典の『塩鉄論』とされている

「言うは易く行うは難し」は、中国・前漢時代の議論を記した古典『塩鉄論(えんてつろん)』に見られる考え方が由来とされています。
現代のことわざと完全に同じ文ではありませんが、言葉にすることと実際に行うことには大きな隔たりがあるという趣旨を受け継ぎ、日本語として広く定着しました。
実行の難しさを説いた故事がもとになっている
『塩鉄論』には、「言之非難、行之為難」という趣旨の一節があるとされます。
これは、「言葉で述べること自体が特別に難しいわけではなく、実際に行うことのほうが難しい」という考えを表したものです。
『塩鉄論』は、前漢時代に行われた政治や経済に関する議論をまとめた書物で、塩や鉄を国が扱う仕組みなどについて、さまざまな立場から意見が交わされています。
大きな方針を語る場では、理想や意見を示すだけでなく、それを現実の制度として動かせるかどうかが問われます。
そのような背景があるため、この言葉には、行動へ移す際の責任や困難さを見落とさないようにという視点が含まれていると考えられます。
| 中国古典で示された趣旨 | 日本語のことわざで伝わる内容 |
|---|---|
| 述べることより、実行することのほうが難しい | 口で言うだけなら簡単でも、実際に行うのは簡単ではない |
| 方針や意見には実現する力が必要である | 目標や約束は、行動が伴ってこそ形になる |
古典の一節は、単に「行動できない人」を評するための言葉ではありません。
むしろ、実行には準備、判断、周囲との調整、継続といった多くの要素が必要だと捉える視点だといえるでしょう。
何かを始めようとして思うように進まないときも、実行が難しいのは意欲が足りないからと決めつけるのではなく、取り組みを小さく分けることが役立つ場合があります。
日本語のことわざとして定着した表現
日本では、中国古典に由来する言葉が、時代を経てことわざや慣用的な表現として親しまれてきました。
「言うは易く行うは難し」もその一つで、原文をそのまま写した表現ではなく、日本語として理解しやすい形に整えられた言い回しです。
そのため、由来となった中国語の一節と、日本語のことわざでは、使われている漢字や語順が一致しない部分があります。
ただし、どちらにも「発言と実行を同じ重さで考える」という共通した考え方があります。
古典に由来する表現でありながら、目標を立てるときや新しい習慣を続けるときなど、今の暮らしにも重ねやすい言葉として受け継がれています。
由来を知ると、このことわざは行動を急かすだけの言葉ではなく、実行には難しさがあることを前提に、言葉を現実へ近づけようとする姿勢を示した言葉だと分かります。
日常会話やビジネスでの自然な使い方

「言うは易く行うは難し」は、自分の反省や、計画を実現する難しさを落ち着いて伝えたい場面で使うと自然です。
日常会話では目標や習慣について、仕事では企画や改善案について触れるときに用いられます。
ただし、誰かの発言だけを取り上げるよりも、自分たちの課題として行動を促す形にすると、やわらかな印象になります。
自分を戒める場面で使う例文
自分で決めたことを続けられていないとき、「言うは易く行うは難し」を使うと、必要以上に自分を責めずに気持ちを整理できます。
「やるべきだ」と分かっていることと、毎日の行動に落とし込むことには差があるためです。
たとえば、生活習慣、勉強、部屋の片づけなど、小さな目標を振り返る場面になじみます。
| 場面 | 自然な例文 |
|---|---|
| 運動を続けたいとき | 毎日体を動かそうと思っていたのに、なかなか続かないね。言うは易く行うは難しだと感じるよ。 |
| 勉強の計画を立てたとき | 予定表を作るところまでは順調だったけれど、実際に机へ向かうのは別だね。言うは易く行うは難しだな。 |
| 家事を後回しにしたとき | 週末にまとめて片づけるつもりだったけれど、思ったより進まなかったよ。言うは易く行うは難しだね。 |
こうした使い方では、できなかった事実を述べるだけで終わらせず、次の工夫につなげる言葉を添えると前向きです。
たとえば、「明日は十分だけ始めてみよう」のように、すぐに取りかかれる小さな行動を決めると、会話にもまとまりが出ます。
計画や目標の難しさを表す例文
大きな目標や新しい計画について話すときは、実現までに考えることが多いという意味で使えます。
この場合は、計画そのものを否定するのではなく、準備や継続の大切さを共有する表現として用いるのがポイントです。
- 旅行の予定は立てられても、全員の都合を合わせるのは言うは易く行うは難しだね。
- 貯蓄を増やす目標は立てやすいけれど、毎月支出を見直すとなると、言うは易く行うは難しだと思う。
- 引っ越しの準備は早めに始めようと思うけれど、荷物を減らすのは言うは易く行うは難しだね。
会話では、「難しいからやめよう」という結論にするより、「どこから始めるかを決めよう」と続けると建設的です。
目標が大きいほど、作業を細かく分けて期限を置くほうが、実行の見通しを持ちやすくなります。
職場で実行の重要性を伝える例文
職場では、提案や方針を実際の業務に移す段階で使えます。
特に会議や進捗確認では、意見の良し悪しだけでなく、担当・期限・手順まで決める必要があることを伝えたい場面に向いています。
ただし、短く言い切るだけでは厳しく受け取られることもあるため、具体的な進め方とセットで述べると自然です。
| 場面 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 会議で方針を確認する | 方向性は共有できました。言うは易く行うは難しでもあるので、まずは担当と期限を決めましょう。 |
| 改善案を進める | 改善のアイデアは十分に出ています。実施段階で止まらないよう、今週中に試す内容を絞り込みましょう。 |
| 目標の進み具合を振り返る | 目標を掲げるだけでなく、日々の行動にできているか確認したいですね。言うは易く行うは難しですから、課題を整理しましょう。 |
職場で使うなら、ことわざの後に「では何をするか」を示すことが大切です。
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「担当者を決める」「期限を確認する」「最初の作業を小さくする」といった具体策を添えることで、言葉が単なる感想ではなく、行動につながる呼びかけになります。
相手に向けて使うと否定や皮肉に聞こえることがある

「言うは易く行うは難し」は、相手の発言に対してそのまま返すと、「口で言うだけなら簡単だ」と評価しているように聞こえることがあります。
相手の提案や意欲を受け止める場面では、言葉の向け先を自分にする、または賛同を先に示すことで、角の立ちにくい伝え方になります。
ことわざ自体は行動の難しさを表すものですが、言い方次第では相手を責めている印象につながるため、関係性や場面に合わせることが大切です。
提案を退ける印象になりやすい場面
相手が前向きな案を出した直後に「言うは易く行うは難しですよ」と返すと、提案の中身を十分に聞かずに退けたように受け取られる場合があります。
とくに、これから挑戦しようとしている人や、時間をかけて考えた意見を伝えている人に対しては、慎重に使いたい表現です。
相手に実行経験がないことを指摘するような流れで用いると、能力や熱意を疑われたように感じさせる可能性もあります。
| 場面 | 受け取られやすい印象 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 新しい提案が出た直後 | 最初から実現性がないと言われたように感じる | 提案のよい点を確認してから課題を話す |
| 相手が努力を宣言したとき | やる気を冷まされたように感じる | 応援する気持ちを先に伝える |
| 立場に差がある相手との会話 | 上から評価されたように聞こえる | 断定を避け、相談する形にする |
| 会議や打ち合わせの場 | 意見を出しにくい雰囲気になる | 実行上の条件を一緒に整理する |
たとえば「その案は言うは易く行うは難しです」とだけ述べると、課題の説明がないまま否定された印象が残りやすくなります。
実行面で気になることがあるなら、「進めるには人手の調整が必要になりそうですね」のように、具体的な論点に置き換えるほうが会話は前に進みます。
ことわざを使うかどうかよりも、相手の考えを尊重したうえで現実的な条件を共有できているかが重要です。
自分を主語にすると柔らかく伝わる
「自分も、言うは易く行うは難しだと感じています」のように、自分を主語にすると、相手への評価ではなく自分自身の実感として伝えられます。
同じ課題に向き合う姿勢が示せるため、一方的に指摘する言い方よりも柔らかい印象になります。
- 私も計画を立てるまでは早いのですが、実行となると難しさを感じます。
- 自分も続けることの難しさを知っているので、無理のない形で考えたいです。
- 言うは易く行うは難しなので、まず自分にできることから始めてみます。
このように伝えると、ことわざが相手を評価する言葉ではなく、自分も含めて考えるための言葉として機能します。
ただし、自分を主語にしていても、直後に相手へ強い要求を重ねると厳しい印象になりかねません。
「一緒に考えませんか」「できる範囲から試してみましょう」といった表現を添えると、協力的な雰囲気を作りやすくなります。
相手の意見を認めてから使う言い換え方
実行の難しさを伝えたいときは、まず相手の考えや着眼点を認めてから、準備すべきことへ話をつなげるのがおすすめです。
先に理解を示すことで、「反対したい」のではなく「実現に近づけたい」という意図が伝わりやすくなります。
| 避けたい言い方 | 柔らかい言い換え方 |
|---|---|
| それは言うは易く行うは難しです。 | とてもよい視点ですね。実現するために必要な準備も一緒に考えたいです。 |
| 口で言うほど簡単ではありません。 | 進める価値はありそうです。実施までの手順を整理してみましょう。 |
| 実際にはできないと思います。 | 難しい部分もありそうなので、まず取り組める範囲を確認しませんか。 |
どうしてもことわざを使いたい場合は、「おっしゃる方向性には賛成です。そのうえで、言うは易く行うは難しでもあるので、準備を丁寧に進めたいですね」と続けると自然です。
この形なら、相手の意見を受け止めながら、実行段階で考えるべき点にも目を向けられます。
相手の発言を判定するためではなく、実現に向けた課題を共有するために使うことを意識すると、行き違いを減らしやすいでしょう。
類義語は「言うと為すとは大違い」など

「言うは易く行うは難し」と近い意味を持つ言葉には、「言うと為すとは大違い」や「口で言うのはたやすい」などがあります。
ただし、言葉によっては「発言と行動の隔たり」を表すものもあれば、「実行する姿勢」そのものを評価するものもあるため、伝えたい内容に合わせて選ぶことが大切です。
実行の難しさに目を向けたいなら「言うと為すとは大違い」、発言と行動がそろっていることを伝えたいなら「有言実行」が使いやすいでしょう。
言葉と行動の差を表す類義語
「言うは易く行うは難し」は、考えを口にすることと、実際に行動へ移すことの間には距離があると伝える言葉です。
似た表現にもそれぞれ少しずつ異なる響きがあり、状況に応じて使い分けると気持ちがより正確に伝わります。
| 表現 | 主な意味・ニュアンス | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 言うと為すとは大違い | 話すことと実際に行うことには、大きな差があるという意味です。 | 理想や計画を形にする難しさを述べる場面です。 |
| 口で言うのはたやすい | 言葉にするだけなら負担は少ない、という意味合いです。 | 実行には準備や工夫が必要だと補足したい場面です。 |
| 言うこととすることは別 | 発言と行動を同じものとして考えられない、という意味です。 | やや率直に、行動の大切さを伝えたい場面です。 |
| 口先だけ | 言葉だけで行動が伴っていない様子を指します。 | 人に向けると強い印象になりやすいため、使用には配慮が必要です。 |
| 言行不一致 | 言っていることと行っていることが一致しない状態を表します。 | 文章や報告などで、客観的に状況を整理したい場面です。 |
このうち「言うと為すとは大違い」は、言葉と実行の隔たりそのものに焦点を当てる表現です。
「言うは易く行うは難し」と同じく、提案や理想を実現するまでには、多くの手順や調整があることを示せます。
たとえば、「働き方を変えようと言うと為すとは大違いで、業務の引き継ぎや役割分担の見直しが必要になる」のように使えます。
一方で「言行不一致」は、発言と行動の食い違いに注目する言葉です。
実行が難しいという一般論よりも、ある人や組織の発言と行動がそろっていない点を指す場合に使われやすい表現です。
そのため、会話で人を直接評するように使うと、厳しく受け取られることがあります。
相手を評価するためではなく、状況を整理するための言葉を選ぶと、落ち着いた伝え方になりやすいでしょう。
- 実現までの難しさを伝えたいとき:言うと為すとは大違い。
- 言葉だけでは足りないことを伝えたいとき:口で言うのはたやすい。
- 発言と行動のずれを客観的に述べたいとき:言行不一致。
- 行動を伴わない発言を強く指摘する意味合いを避けたいとき:具体的な課題や手順を述べる。
有言実行と不言実行は実行する姿勢を表す言葉
「有言実行」と「不言実行」は、どちらも目標や考えを行動に移す姿勢を表す言葉です。
「言うは易く行うは難し」が実行の難しさを示すのに対し、これらは実行できたこと、あるいは実行しようとする態度に目を向けます。
| 表現 | 意味 | 印象 |
|---|---|---|
| 有言実行 | 目標や決意を言葉にしたうえで、実際に実現することです。 | 宣言した責任を果たす、前向きで力強い印象があります。 |
| 不言実行 | あえて多くを語らず、黙って行動で示すことです。 | 控えめながら着実に取り組む、落ち着いた印象があります。 |
| 言行一致 | 発言と行動が一致していることです。 | 考え方に一貫性があり、信頼につながりやすい印象があります。 |
たとえば、周囲に目標を伝えてから計画的に達成へ向かう人には、「有言実行の姿勢がすてきですね」と表現できます。
周囲に大きくアピールせず、必要なことを着実に進める人には、「不言実行で取り組んでいる」と表せるでしょう。
どちらが優れているということではなく、言葉にして周囲と共有する方法と、行動で示す方法の違いと考えるとわかりやすいです。
チームで進める仕事では、有言実行のように目標を共有することで、協力を得やすくなる場合があります。
一方で、まず自分で準備を整え、成果や進捗で示したい場面では、不言実行の姿勢が自然に映ることもあります。
「言うは易く行うは難し」をきっかけに、言葉だけで終わらせず、できる範囲の一歩を考えるときには、「有言実行」や「不言実行」が前向きな言い換えになります。
英語では「Easier said than done.」が近い表現

「言うは易く行うは難し」に近い英語表現は、「Easier said than done.」です。
言うことは簡単でも、実際に実行するとなると難しい、という趣旨を自然に伝えられます。
目標の実現や習慣づくり、仕事の計画などについて、言葉と行動の間にある難しさを表したいときに使われる定型表現です。
直訳ではなく同じ趣旨を伝える定型表現
「Easier said than done.」を単語ごとに訳すと、「行うより言うほうが簡単」といった意味になります。
ただし、英語ではひとまとまりの決まり文句として使われるため、日本語では「言うは易く行うは難し」や「口で言うほど簡単ではない」と捉えるとわかりやすいでしょう。
「言うは易し行うは難し」と同じように、発言そのものを責めるためではなく、実行には現実的な壁があることを示す表現です。
| 英語表現 | 日本語で伝わるニュアンス |
|---|---|
| Easier said than done. | 言うのは簡単だが、実際にするのは難しい。 |
| It’s easier said than done. | それは、言うほど簡単ではない。 |
| That’s easier said than done. | それは口で言うのは簡単だけれど、実行は大変だ。 |
会話では「It’s」や「That’s」を付けて、何について難しさを感じているのかを示す形もよく使われます。
一方で、「Easier said than done.」だけでも、前後の話題が共有されていれば意味は十分に通じます。
日本語のことわざのように少し硬い印象ではなく、日常的な会話にもなじみやすい言い回しです。
会話で使える自然な用例
たとえば、健康的な生活を続ける難しさについて話すなら、次のように言えます。
- “Getting up early every day is easier said than done.”
毎日早起きするのは、言うほど簡単ではありません。 - “Saving money is easier said than done.”
お金を貯めるのは、口で言うほど簡単ではありません。 - “We know it’s easier said than done, but let’s start with one small step.”
簡単ではないとわかっていますが、まずは小さな一歩から始めましょう。
最後の例のように使うと、実行の難しさを認めながらも、前向きに取り組もうとする気持ちを伝えられます。
仕事の場面では、計画そのものを否定するのではなく、具体的な進め方を考える流れで添えると自然です。
たとえば、「目標を立てるのは大切ですが、達成するのは簡単ではありません」という意味合いなら、“Setting goals is important, but achieving them is easier said than done.” と表現できます。
相手の提案に対して使う場合は、短く言い切るよりも、難しさを理解したうえで協力する姿勢を続けて示すと、やわらかい会話になりやすいです。
「知るは難く、行うは易し」は知識と実践の関係を説く別の言葉

「知るは難く、行うは易し」は、物事の本質を理解することは難しい一方、正しく理解できれば実行は進めやすくなるという考え方を表す言葉です。
「言うは易く行うは難し」とは、言葉にすることと実際に行動することの隔たりに注目する点で異なります。
似た形の表現ではありますが、何に難しさがあると考えるかが違うため、同じ意味として置き換えないようにしましょう。
「言うは易く行うは難し」とは行動への捉え方が異なる
「言うは易く行うは難し」は、目標や方法を口にすることはできても、継続して実現するには努力や工夫が必要だという見方です。
たとえば、「生活習慣を整えよう」と決めることと、毎日の忙しさのなかで実際に続けることには差がある、という場面に当てはまります。
これに対して「知るは難く、行うは易し」は、行動そのものを軽く見る言葉ではありません。
十分な知識や道筋がないまま始めるより、まず本質をつかむことが重要だと考える表現です。
| 表現 | 難しいとされること | 伝わる考え方 |
|---|---|---|
| 言うは易く行うは難し | 言ったことを実際に成し遂げること | 発言だけで終わらせず、行動を伴わせる大切さ |
| 知るは難く、行うは易し | 物事の仕組みや正しい方法を知ること | 理解が深まれば、実践への道筋が見えやすくなること |
前者は「実行の継続」へ目を向け、後者は「理解の深さ」へ目を向けている、と捉えると違いがわかりやすいでしょう。
たとえば仕事で新しい業務を任された場合、手順を聞いただけで進めるよりも、目的や全体の流れを理解してから取り組むほうが、判断に迷いにくくなることがあります。
このような場面では、「知るは難く、行うは易し」の考え方が示す、理解を土台にして行動する姿勢が参考になります。
ただし、理解しただけで満足せず、実際に試して経験を重ねることも大切です。
二つの言葉は対立するものではなく、深く知り、着実に行うという流れで受け止めると、日常にも活かしやすくなります。
孫文が唱えた「知難行易」の考え方
「知るは難く、行うは易し」は、中国の革命家・政治家である孫文が唱えた「知難行易」という考え方として広く知られています。
知難行易は、「知ることは難しく、行うことは易しい」と読む四字熟語です。
孫文は、当時よく知られていた「知易行難」、つまり知ることは容易で実行は難しいという見方に対して、異なる視点を示しました。
物事の原理や進むべき方向を見極めるには深い理解が求められるため、むしろ「知る」ことのほうが難しい場合がある、という考えです。
そして、正しい知識や方法が共有されれば、多くの人が協力して実行へ移しやすくなると考えました。
ここでいう「行う」は、何も準備せずにできるという意味ではありません。
必要な知識、手順、役割が整理された状態なら、行動を始めるための迷いを減らしやすい、という趣旨として理解するとよいでしょう。
- 何を目指すのかを明確にする。
- なぜその方法を選ぶのかを理解する。
- 実行しやすい手順に分ける。
- 行った結果を見て、理解と方法を見直す。
たとえば、家計を整えたいと考えたとき、ただ「節約しよう」と気合いを入れるだけでは、何から変えるべきか判断しにくいものです。
支出の内容や自分の優先順位を把握し、無理なく続けられる方法を知れば、具体的な行動に移しやすくなります。
この場合は、先に知ることの難しさを乗り越えることで、行うことへの負担を軽くしていくという「知難行易」の考え方に近いといえます。
「言うは易く行うは難し」が行動の重みを思い出させる言葉なら、「知るは難く、行うは易し」は行動を支える理解の重要性を教えてくれる言葉です。
使いたい場面に応じて、実行の難しさを伝えたいのか、それとも学びと理解の大切さを伝えたいのかを意識して選ぶとよいでしょう。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 一般的な定型表現は「言うは易く行うは難し」
- 読み方は「いうはやすく、おこなうはかたし」
- 「易く」は次の語につなぐ形、「難し」は文を結ぶ形である
- 由来は中国古典『塩鉄論』の考え方とされている
- 意味は、言葉にすることより実行し続けることのほうが難しいということ
- 自分自身やチームの課題として使うと、やわらかく伝えやすい
- 相手に直接向けると、否定的な印象を与える場合がある
- 近い英語表現には「Easier said than done.」がある
- 「知るは難く、行うは易し」は意味が異なる別の言葉である
「言うは易く行うは難し」は、行動を始めたり続けたりする難しさを、端的に表せる言葉です。
だからこそ、できていない自分や誰かを責めるためではなく、実現への道のりを丁寧に考えるための言葉として使いたいですね。
大きな目標でも、今日できる小さな行動に分けてみると、少し取り組みやすくなるかもしれません。
言葉にした思いを一歩ずつ形にしていくことが、納得できる変化につながっていくでしょう。
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