「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

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豆知識
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「前記」と「上記」はどちらもよく見かける言葉ですが、いざ自分で使うとなると、どちらを選べば自然なのか迷うことがありますよね。

意味はほとんど同じように思えても、文章の流れを受けるのか、文書内の上の位置を示すのかによって、伝わり方は少し変わります。

とくにビジネスメールや契約書などでは、参照先があいまいだと相手が確認に手間取りやすいため、読み手がすぐに該当箇所を見つけられる表現を選ぶことが大切です。

この記事では、「前記」と「上記」の基本的な違いから、メール・契約書・特許請求の範囲での考え方、関連表現との使い分けまで、例文を交えてわかりやすく解説します。

迷ったときにどちらを使うべきか判断できるようになるので、文章をより正確で読みやすく整えたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 「前記」と「上記」が指す方向と基本的な違い
  • 文章の向きや参照する位置に合わせた使い分け方
  • ビジネスメールや契約書で参照先をわかりやすく示すコツ
  • 「前述」「先述」「上述」「当該」との違いと自然な例文

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  1. 「前記」と「上記」は指す方向の捉え方が異なる類義語
    1. 「前記」は前に書かれた内容を指す言葉
    2. 「上記」は上に書かれた内容を指す言葉
    3. 読み方は「前記」が「ぜんき」、「上記」が「じょうき」
  2. 基本は文章の向きと参照する位置に合わせて使い分ける
    1. 直前の文章には「前記」と「上記」のどちらも使える
    2. 数段落前の内容には参照先が伝わる表現を添える
    3. 横書きでは「上記」、縦書きでは「前記」がなじみやすい
    4. 「前記する」は使えるが「上記する」は一般的ではない
  3. ビジネスメールでは読み手が見つけやすい表現を選ぶ
    1. 画面の上にある内容を示すなら「上記」が自然
    2. 離れた内容には項目名や日時を添えると明確になる
    3. 参照箇所が多い場合は番号や見出しを使う
  4. 契約書や公文書では文書内の統一と参照先の明確さを優先する
    1. 文書の様式や既存の表記ルールに合わせる
    2. 「前記の条項」のように対象を具体的に示す
    3. 重要な文書では「前記」「上記」だけに頼らず条項番号を添える
  5. 特許請求の範囲では「前記」が多く参照関係の明確さが重要
    1. 「前記」は先に示した構成要素を受ける際に用いられる
    2. 「上記」よりも対象を具体的に示す表現が適している
    3. 実務では文書全体の表記や専門家の確認を優先する
  6. 「上記のとおり」と「前記のとおり」はどちらも使える
    1. 上方の記載を受けるなら「上記のとおり」
    2. 前の記載を受けるなら「前記のとおり」
    3. 「上記に記載した」は意味が重なりやすいため簡潔に言い換える
  7. 「前述」「先述」「上述」「当該」は指し方と用途が異なる
    1. 「前述」「先述」は先に述べた内容を示す
    2. 「上述」は上で述べた内容を示す
    3. 「当該」は話題になっている特定の対象を示す
    4. 後に続く内容には「後記」や「下記」を使う
  8. 例文でわかる「前記」と「上記」の自然な使い方
    1. 「前記」を使った例文
    2. 「上記」を使った例文
    3. 参照先を具体的にしたビジネス文書の例文
  9. まとめ
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「前記」と「上記」は指す方向の捉え方が異なる類義語

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「前記」と「上記」はどちらも、すでに書かれている内容を指す言葉ですが、何を基準にして振り返るかが異なります。

「前記」は文章の前に出てきた内容を、「上記」は今読んでいる箇所より上に記されている内容を指します。

縦書きや横書きの一般的な文書では同じ範囲を指すことも多いものの、それぞれの言葉が持つ視点を知っておくと、文章の意味を取り違えにくくなります。

言葉 基準となる方向 指す内容のイメージ
前記 時間・文章の順序 これより前に記した内容
上記 文書上の位置 この箇所より上に記した内容

「前記」は前に書かれた内容を指す言葉

「前記」は、文章の流れの中で先に述べた内容を受ける言葉です。

「前」は位置だけでなく順序も表すため、前の段落や前の項目など、すでに登場した事柄を振り返るときに使われます。

たとえば、「申込条件は前記のとおりです」と書かれていれば、その文より前に説明された申込条件を指していると理解できます。

ここで大切なのは、「前記」が単に紙面の上側を示すのではなく、先に記載された情報とのつながりを表す点です。

そのため、文章が複数ページにまたがっていても、前に示された内容を受ける表現として成り立ちます。

一方で、前に書かれた情報が複数ある場合には、どの内容を指すのか読み手が迷うこともあります。

「前記」そのものに細かな場所を特定する意味があるわけではなく、前後の文章から対象を判断する言葉だと捉えるとわかりやすいでしょう。

「上記」は上に書かれた内容を指す言葉

「上記」は、現在の記載箇所より上にある内容を指す言葉です。

「上」は文書の見た目の位置を表しており、箇条書きや案内文などで、直前までに並べた項目をまとめて受ける場面をイメージすると理解しやすいです。

たとえば、必要な持ち物を箇条書きで示したあとに「上記をご確認ください」と続ける場合、「上記」はその上に並んでいる持ち物の一覧を指します。

「上記」は、読み手が画面や紙面を少し上へ戻れば対象を見つけられるような、視覚的な近さを感じさせる表現です。

ただし、文書の形式によっては「上」の範囲が広くなり、どこまでを指すのか曖昧になることもあります。

特に、長い文書では「上記」が数ページ前の内容を指すように見えると、読み手が探しにくくなる可能性があります。

「上記」は位置に着目した言葉、「前記」は記載の順序に着目した言葉と整理すると、両者の違いを押さえやすくなります。

読み方は「前記」が「ぜんき」、「上記」が「じょうき」

「前記」の読み方は「ぜんき」で、「上記」の読み方は「じょうき」です。

どちらも書き言葉でよく見かける表現ですが、会話で使う機会はそれほど多くありません。

「前記」は「前期」と同じ読み方になるため、音だけでは意味が伝わりにくい場合があります。

また、「上記」は「蒸気」と同じく「じょうき」と読めるため、口頭で伝える際には「先ほど記した内容」や「上にある項目」などと言い換えると、意図が伝わりやすくなります。

読み方と基本の意味を押さえたうえで、前記は順序、上記は位置という違いを意識してみてください。

基本は文章の向きと参照する位置に合わせて使い分ける

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「前記」と「上記」は、どちらもすでに書かれた内容を受ける言葉ですが、文章の流れを重視するなら「前記」見た目の位置を重視するなら「上記」がなじみます。

迷ったときは、読み手が参照先をすぐに見つけられるかを基準にすると、自然な表現を選びやすくなります。

特に、参照先との距離や文書の向きによって受ける印象が変わるため、言葉だけで判断せず、実際のレイアウトも確認することが大切です。

確認したい点 向いている表現
すぐ前に記した内容を順序として受けたい 前記
画面や紙面の上に見えている内容を受けたい 上記
参照先が離れていて探しにくい 項目名・番号・見出しを添える
縦書きの文書で方向の表現を避けたい 前記

直前の文章には「前記」と「上記」のどちらも使える

直前に書いた内容を受ける場合は、「前記」と「上記」のどちらを使っても意味が通じることが多いです。

たとえば、条件を示した直後に補足を加えるなら、「前記条件を満たす場合」も「上記条件を満たす場合」も不自然ではありません。

ただし、両者にはわずかな焦点の違いがあります。

  • 前記条件:前に記載した条件という、文章上のつながりを意識した言い方です。
  • 上記条件:すぐ上にある条件という、紙面や画面上の位置を意識した言い方です。

一文前や直前の箇条書きを受ける程度の近さであれば、どちらを選んでも大きな問題にはなりにくいでしょう。

そのうえで、前後の文に「下記」「以下」など位置を示す言葉があるときは、「上記」を選ぶと表現のまとまりがよくなります。

反対に、文章の順序に沿って内容を整理しているときは、「前記」を選ぶと落ち着いた印象になります。

数段落前の内容には参照先が伝わる表現を添える

参照したい内容が数段落前や前のページにある場合、「前記」や「上記」だけでは、どこを指すのか分かりにくくなることがあります。

このような場面では、項目名、見出し、番号などを添えて参照先を具体的に示すことが大切です。

たとえば、「前記内容をご確認ください」よりも、「前記の『提出書類』に関する内容をご確認ください」としたほうが、読み手は探す手間を減らせます。

番号付きの項目がある文書なら、「第2項に記載した条件」や「前記1の手順」のように示す方法もあります。

曖昧になりやすい書き方 参照先を示しやすい書き方
上記をご確認ください 上記の提出書類一覧をご確認ください
前記の内容に従ってください 前記の申込手順に従ってください
上記事項を適用します 上記の利用条件を適用します

とくに、複数の話題が続く文章では、「上記」がどの段落までを含むのか判断しづらくなる場合があります。

参照語を短くまとめることよりも、読み手が迷わないことを優先するとよいでしょう。

横書きでは「上記」、縦書きでは「前記」がなじみやすい

横書きの文書では、本文を上から下へ読み進めるため、「上記」は視覚的な感覚と結びつきやすい表現です。

画面上の案内や横書きの資料で、すぐ上に箇条書きや説明があるなら、「上記の項目」のような書き方は自然に受け取られやすいでしょう。

一方、縦書きでは文字を上から下へ追うとはいえ、行は右から左へ進むため、「上」という位置の感覚が横書きほど単純ではありません。

そのため、縦書きの文章では、方向を示す「上記」よりも、先に記した内容を表す「前記」のほうがなじみやすい傾向があります。

ただし、これは絶対の決まりではありません。

縦書きでも文書全体で「上記」に統一されている場合や、直上の項目を明確に受ける場合は、「上記」が使われることもあります。

大切なのは、文書の向きそのものより、同じ文書内で表現の基準をそろえ、読み手に誤解なく伝えることです。

「前記する」は使えるが「上記する」は一般的ではない

「前記」は名詞としてだけでなく、「前記する」の形で動詞のように使うこともできます。

「前記する事項」「前記した内容」のように、先に記した行為や内容を表す書き方です。

ただし、「前記する」は日常的な会話よりも、ややかたい文書で見かける表現です。

読みやすさを優先するなら、「先に記した」「前に述べた」などに言い換えてもよいでしょう。

これに対して、「上記する」という言い方は一般的ではありません。

「上記」は、基本的に上に書かれている内容を指す名詞として使うため、「上記する」とはせず、「上記の内容」「上に記した内容」と表現するのが自然です。

  • 前記する事項
  • 前記した条件
  • 上記の事項
  • 上に記した条件

動詞の形にしたいときは「前記する」、位置を示したいときは「上記の」と考えると、使い分けを誤りにくくなります。

ビジネスメールでは読み手が見つけやすい表現を選ぶ

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

ビジネスメールでは、「前記」と「上記」の厳密な言い分けよりも、相手が参照したい内容をすぐ見つけられるかを優先することが大切です。

画面上部にある箇所をそのまま指すなら「上記」が自然ですが、メールが長い場合や返信が続く場合は、項目名・日時・番号を添えると誤解が少なくなります。

「どこを見ればよいか」が一目でわかる書き方を選ぶと、確認の手間を減らし、やり取りもスムーズになります。

画面の上にある内容を示すなら「上記」が自然

メールでは、宛先やあいさつ文の下に要件を書き、その後に補足や依頼を続ける構成が一般的です。

このように、読み手が画面を少し上へ戻れば確認できる内容を受ける場合は、「上記」を使うと位置関係が伝わりやすくなります。

たとえば、日程候補を箇条書きで示した直後に返信を依頼するなら、「上記日程のうち、ご都合のよい日時をお知らせください」と書けます。

「上記の件につきまして、ご確認をお願いいたします」とするよりも、何を確認してほしいのかを補うほうが親切です。

状況 書き方の例
直前に日程候補を記載した場合 上記日程からご都合のよい日時をお選びください
直前に資料を案内した場合 上記資料をご確認いただけますと幸いです
直前に質問を並べた場合 上記の質問について、ご回答をお願いいたします

ただし、スマートフォンでは画面表示が縦に長くなり、相手が「上記」の内容まで戻りにくいことがあります。

とくに本文が長いメールでは、「上記」だけで済ませず、対象を短く言い直すと安心です。

たとえば、「上記をご確認ください」ではなく、「上記の見積条件をご確認ください」とすると、読み手は確認すべき内容を把握しやすくなります。

離れた内容には項目名や日時を添えると明確になる

メールの冒頭に書いた内容を、数段落後で改めて参照したい場合は、「前記」や「上記」だけに頼らないほうがわかりやすいことがあります。

途中に説明、質問、補足が入ると、読み手はどの記載を指しているのか探す必要があるためです。

このような場合は、件名に近い項目名、打ち合わせ日時、資料名などを添えると、参照先が明確になります。

  • 日時を添える:8月20日の打ち合わせについて
  • 項目名を添える:納品スケジュールの確認について
  • 資料名を添える:添付の見積書のご確認について
  • 依頼内容を添える:ご提示いただいた修正案について

たとえば、メールの前半で日程を伝え、後半で会議の準備を依頼するなら、「前記日程までに資料をご共有ください」とするより、「8月20日の打ち合わせまでに資料をご共有ください」と書くほうが具体的です。

相手がメールを転送したり、過去のやり取りを引用して返信したりする場面でも、固有の手がかりがあると内容を追いやすくなります。

一方で、毎回すべてを長く書き直す必要はありません。

「先ほどお送りした見積書」「下記の確認事項」のように、位置と内容のどちらかを補うだけでも、十分に読みやすくなります。

参照箇所が多い場合は番号や見出しを使う

確認事項や依頼事項が複数あるメールでは、「上記の内容」「前記の事項」とまとめて示すと、どこまでが対象なのか曖昧になりがちです。

複数の項目を扱うときは、最初に番号や短い見出しを付け、返信時にも同じ番号を使えるようにすると便利です。

  1. 日程の確認
  2. 参加人数の確認
  3. 資料送付の可否

このように整理しておけば、「上記3点について、ご確認をお願いいたします」と書いても、相手は対象範囲を判断しやすくなります。

さらに回答を受け取りたい場合は、「恐れ入りますが、1〜3についてご回答をお願いいたします」とすると、返信内容も整理されやすくなります。

項目が多いメールでは、本文の途中に見出しを置く方法も有効です。

目的 見出しの例
確認してほしい内容を分ける ご確認事項
相手に対応を依頼する お願いしたい事項
期限を目立たせる ご返信期限

「上記」や「前記」は便利な表現ですが、参照先が増えるほど、それだけでは伝わりにくくなります。

メールの長さ、項目数、相手が確認する場面に合わせて、番号・見出し・具体的な名称を組み合わせることが、読みやすい連絡につながります。

契約書や公文書では文書内の統一と参照先の明確さを優先する

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

契約書や公文書では、「前記」と「上記」のどちらが一般的かよりも、文書全体で表記が統一されていることと、参照先を誰でも迷わず特定できることが大切です。

とくに権利や義務、手続きに関わる内容では、位置を示す言葉だけで済ませず、条項番号や別紙名を添えて具体的に示すと読み違いを抑えやすくなります。

「前記」「上記」は便利な表現ですが、文書が長くなったり改訂が入ったりすると、何を指すのか判断しにくくなる場合があります。

そのため、作成時だけでなく、第三者が後から確認する場面も想定して表記を整えることが重要です。

文書の様式や既存の表記ルールに合わせる

契約書や公文書には、組織ごとのひな形、過去の文書、関連する規程などに基づく表記の慣行があることがあります。

すでに文書内で「前記」を用いているなら、特別な理由がない限り、途中から「上記」へ切り替えないほうが自然です。

反対に、見出しの直下にある箇条書きだけを参照する構成で「上記」が使われているなら、その用法にそろえると読み手の負担を減らせます。

同じ意味に見える表現でも、文書内で混在すると参照範囲の違いがあるように受け取られることがあります。

特に複数人で作成・確認する文書では、用語の使い方を早めに決めておくと、修正の際にも判断しやすくなります。

確認する点 確認の目安
既存のひな形 条文や別紙の参照に、どの表現が使われているかを見る
文書内の用語 「前記」「上記」「以下」「別紙」などの表記をそろえる
見出しと番号 条・項・号の付け方が途中で変わっていないか確認する
改訂時の扱い 追加や削除があっても参照先を追える書き方か確認する

ただし、組織の規程や提出先から書式が示されている場合は、独自の判断で言い換えるより、指定された表記を優先するのが無難です。

判断に迷う場合は、文書の管理担当者や確認を依頼する専門家に、統一方針を確認すると安心です。

「前記の条項」のように対象を具体的に示す

「前記」や「上記」の後ろには、何を参照するのかがわかる名詞を続けると、文の意味が明確になります。

たとえば「前記の内容」よりも、「前記の条項」「前記の通知」「上記の申請書」のように書くほうが、対象の種類を把握しやすくなります。

ただし、「前記の条項」だけでは、複数の条項が近くにある場合に対象を絞り込めないことがあります。

参照先が一つに定まる短い文章では使いやすい一方、長い文書では補足を加えることが望まれます。

  • 「前記の通知」
  • 「上記の申請内容」
  • 「前記の添付書類」
  • 「上記の別紙記載事項」

このように対象の名称を添えると、読み手は文章をさかのぼる際に、探すべき情報の種類を把握できます。

一方で、「前記事項」「上記事項」のような表現は、どこからどこまでを含むのかが読み手によって分かれることがあります。

複数の事項をまとめて指す必要がある場合は、「第2条から第4条までに定める事項」のように範囲を示す方法も検討できます。

重要な文書では「前記」「上記」だけに頼らず条項番号を添える

契約条件、期限、費用負担、解除に関する事項など、解釈のずれを避けたい箇所では、条項番号・項番号・別紙番号を併記する書き方が役立ちます。

「前記第3条第2項の定め」のように示せば、参照先を探す範囲が明確になります。

もっとも、条項番号を加える場合は、番号の誤記や改訂後のずれがないかを確認する必要があります。

曖昧になりやすい書き方 参照先を示しやすい書き方
前記の定めに従う 第3条第2項に定める手続きに従う
上記の書類を提出する 別紙1に記載する書類を提出する
前記の期間内に通知する 第5条第1項に定める期間内に通知する

条項番号を示すことで文章がやや長くなっても、重要な参照関係では簡潔さより明確さを優先する考え方が適しています。

また、契約書の修正や差し替えが予定される場合は、条番号だけでなく、条項の見出しや対象となる内容も併記すると確認しやすくなります。

最終確認では、参照表現ごとに「対象は一つに特定できるか」「追加・削除後も番号が合っているか」を見直すとよいでしょう。

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特許請求の範囲では「前記」が多く参照関係の明確さが重要

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

特許請求の範囲では、先に登場した構成要素を再び指す表現として、「前記」が用いられることが多いです。

大切なのは「前記」か「上記」かという言葉の印象ではなく、どの構成要素を指しているのかを一つに特定できることです。

請求項は技術的な内容と要件のつながりを明確に示す必要があるため、用語の使い方は文書内でそろえ、必要に応じて専門家へ確認することが望まれます。

「前記」は先に示した構成要素を受ける際に用いられる

特許請求の範囲では、構成要素を最初に示した後、その構成要素に追加の条件や動作を結び付ける場面があります。

このとき、「前記」を付けることで、後の文章が先に記載した要素を受けていることを示しやすくなります。

たとえば、「センサー」と「制御部」を先に示し、その後に各部の関係を説明する場合は、次のような書き方が考えられます。

構成要素の示し方 後続する記載の例
センサーを備える装置 前記センサーが検出した情報に基づいて処理を行う制御部
記憶部を備える情報処理装置 前記記憶部に保存された設定情報を読み出す処理部
第1の部材および第2の部材 前記第1の部材と前記第2の部材とを接続する連結部

「前記センサー」のように書くと、後から新しいセンサーを追加したのではなく、すでに示したセンサーについて説明していると読み取りやすくなります。

特に、同じ種類の部材や機能が複数登場する場合は、「第1」「第2」などの区別と「前記」を組み合わせることが重要です。

参照先が複数考えられる書き方は、意図しない読み方につながるおそれがあります。

そのため、請求項を読む際は、「前記」が付いた語句ごとに、先行するどの語句を受けているか確認するとよいでしょう。

「上記」よりも対象を具体的に示す表現が適している

「上記」も前に書かれた内容を指す言葉ですが、特許請求の範囲では「前記」が選ばれる傾向があります。

「上記」は文章の上側にある記載全体を受けるようにも見えるため、構成要素どうしの対応関係を追う場面では、対象を明確にする工夫が求められます。

もっとも、「前記」と書けば必ず明確になるわけではありません。

たとえば、同じ請求項内に複数の「制御部」が存在する場合、「前記制御部」だけでは、どちらの制御部を指すのか分かりにくくなることがあります。

分かりにくくなりやすい表現 対象を示しやすい表現
前記制御部 前記第1の制御部
前記部材 前記支持部材
上記情報に基づく処理 前記センサーが出力した検出情報に基づく処理

このように、参照語に名詞や識別語を加えると、読み手が構成要素を追いやすくなります。

請求項の内容が長くなる場合でも、短さより参照関係の分かりやすさを優先する姿勢が役立ちます。

また、請求項ごとに新たな構成要素を定義している場合は、別の請求項で用いた「前記」がどこまでを受けるのかについても丁寧な確認が必要です。

実務では文書全体の表記や専門家の確認を優先する

特許に関する書類では、請求項だけでなく、明細書や図面との用語の対応も意識することが大切です。

請求項で「前記撮像部」と記載しているなら、関連する説明でも同じ構成要素を別の名称で呼んでいないか確認すると、文書全体の一貫性を保ちやすくなります。

表記を整える際は、次の点を確認してみてください。

  • 「前記」が受ける構成要素が、その前に適切に記載されているか
  • 同種の構成要素が複数ある場合に、第1、第2などで区別できているか
  • 同じ構成要素に対して、途中で異なる名称を使っていないか
  • 従属する請求項で追加した限定内容との関係が読み取れるか
  • 文書内で「前記」「上記」などの参照表現が混在していないか

特許請求の範囲の表現は、技術内容、出願の目的、先行する記載との関係などを踏まえて検討されます。

そのため、作成や修正を行う際は、一般的な用法だけで判断せず、文書全体の表記方針と専門家による確認を優先することが安心です。

「上記のとおり」と「前記のとおり」はどちらも使える

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「上記のとおり」と「前記のとおり」は、どちらもすでに書かれた内容を受ける表現であり、基本的には使用できます。

ただし、画面や文書の上の位置にある記載を意識させたいときは「上記のとおり」前に述べた内容とのつながりを示したいときは「前記のとおり」が自然です。

意味を大きく変える表現ではないため、迷ったときは読み手が参照先を見つけやすいほうを選ぶとよいでしょう。

上方の記載を受けるなら「上記のとおり」

「上記のとおり」は、文章やメールの上のほうに書かれている内容をまとめて指す際に使いやすい表現です。

直前だけでなく、箇条書きや表の内容を受ける場合にもなじみます。

たとえば、メールで対応内容を箇条書きにした後、結びの一文で要点を確認するときに使えます。

記載例 伝わる内容
対応予定は上記のとおりです。 メールの上部にある予定の一覧を受ける。
上記の内容をご確認ください。 先に示した説明や条件全体を確認してもらう。
上記のとおり、日程を変更いたします。 上部で案内した変更内容を結論として再確認する。

「上記のとおり」は、視線を上へ戻してほしい場面に合うため、メールや案内文では特に使われます。

一方で、文章が長く、上部に複数の話題がある場合は、何を指すのかが曖昧になることがあります。

そのようなときは、「上記の日程のとおり」「上記の対応方針のとおり」のように、内容を表す名詞を添えると親切です。

前の記載を受けるなら「前記のとおり」

「前記のとおり」は、前に述べた事項を受けて、後の説明につなげたいときに適した表現です。

位置そのものよりも、すでに示した内容を改めて受ける関係に意識が向く点が特徴です。

たとえば、報告書や規程のように、段落ごとに内容を積み上げる文書では、「前記のとおり」が文脈になじむ場合があります。

記載例 使い方のポイント
前記のとおり、今回の変更は手続きの簡略化を目的としています。 前段で説明した変更内容を受けて理由を補足する。
前記のとおり、必要書類を提出してください。 すでに案内した提出条件を前提に依頼する。
前記のとおりの手順で進めます。 前に説明した手順をそのまま採用することを示す。

ただし、「前記のとおり」も、参照先が遠い場合や似た内容が続く場合には、読み手がどの記載を確認すればよいか迷うことがあります。

そのため、「前記の申請手順のとおり」「前記第2項のとおり」のように、受ける対象を具体化すると分かりやすくなります。

メールでは「上記のとおり」のほうが視覚的に理解されやすいこともありますが、文書全体の表現に合わせて「前記のとおり」を選んでも不自然ではありません。

「上記に記載した」は意味が重なりやすいため簡潔に言い換える

「上記に記載した内容」のような表現は間違いではありませんが、「上記」と「記載した」がともに前の文章を指すため、やや説明が重なって見えることがあります。

読みやすさを優先するなら、必要な情報だけを残して短くするのがおすすめです。

  • 上記に記載した内容をご確認ください。 → 上記の内容をご確認ください。
  • 上記に記載した日程で実施します。 → 上記の日程で実施します。
  • 前記に記載した手順に従います。 → 前記の手順に従います。

ただし、「上記に記載した」が必ず避けるべき表現というわけではありません。

たとえば、表・別紙・本文など、記載場所そのものを明確にしたい場合は、「上記に記載した事項」のような書き方にも意味があります。

それでも、対象が明らかな場面では「上記の事項」「上記の内容」としたほうが、すっきりと伝わります。

「上記のとおり」と「前記のとおり」を使う際も、参照先が一目で分かるかを確認し、長い文では具体的な名詞を補うようにすると安心です。

「前述」「先述」「上述」「当該」は指し方と用途が異なる

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「前述」「先述」「上述」は、いずれも前に触れた内容を示す言葉ですが、文書内での位置や文章の硬さに違いがあります。

一方の「当該」は、前後の位置ではなく、いま話題にしている特定の対象を指す言葉です。

似た表現でも置き換えられない場面があるため、何を指したいのかを意識して選ぶことが大切です。

言葉 主な意味 使われやすい場面
前述 前に述べたこと 説明文、報告書、論文など
先述 先に述べたこと 文章全般、やや改まった文章
上述 上で述べたこと 縦書き・横書きを問わない説明文
当該 その特定の対象 事務的な文書、規程、案内文など

「前述」「先述」は先に述べた内容を示す

「前述」と「先述」はどちらも、文章や会話の中ですでに説明した内容を受ける表現です。

「前述」は「前に述べた」の意味で、説明文や報告書などでよく使われます。

たとえば、「前述の理由により、計画を見直します」と書けば、それより前に示した理由を指します。

「先述」も「先に述べた」という意味ですが、時間的な順序に目を向けた表現です。

「先述した条件を満たす場合に限ります」のように使うと、先に説明済みの条件を自然に示せます。

両者の意味に大きな差はありませんが、同じ文書内ではどちらかにそろえると、文章の印象が整います。

なお、参照先から文章が大きく離れている場合は、「前述の研修日程」のように名詞を添えると読み手に伝わりやすくなります。

「上述」は上で述べた内容を示す

「上述」は、「上で述べたこと」や「上のほうで説明したこと」を意味する表現です。

前に書かれた内容を指す点では「前述」と近いものの、「上述」は文章の位置関係を意識させる語です。

たとえば、「上述の内容を踏まえてご判断ください」と書くと、この文より上にある説明全体を受ける形になります。

「上述した方法」「上述のとおり」といった使い方があり、説明資料や案内文にもなじみます。

ただし、画面表示では文章の途中に表や画像が入ることもあるため、参照先が複数考えられる場合には注意が必要です。

「上述」だけで対象が特定できないときは、具体的な名称を続けると、認識のずれを抑えられます。

「上述の内容」よりも「上述の申込条件」のように書くほうが、何を確認すればよいかが明確になります。

「当該」は話題になっている特定の対象を示す

「当該」は、前に述べたものに限らず、その場で問題になっている特定の人・物・事柄を指す言葉です。

「当該商品」「当該申請」「当該期間」のように、名詞の前に付けて使うのが一般的です。

たとえば、「当該申請については、必要書類をご提出ください」とすれば、文脈上で対象となっている申請を示せます。

「前述」や「上述」が文章内の前の説明をたどる表現であるのに対し、「当該」は対象そのものを指すため、役割が異なります。

そのため、「前述の申請」と「当該申請」は似て見えても、前者は以前に説明した申請を示し、後者は現在扱っている申請を示すニュアンスになります。

「当該」は事務的で硬い印象を与えやすいため、日常的な連絡では「その商品」「この申請」などに言い換えたほうが親しみやすい場合もあります。

後に続く内容には「後記」や「下記」を使う

これから示す内容を指したいときは、「前述」や「上述」ではなく、「後記」や「下記」を使います。

「後記」は後に記す内容を意味し、契約書や規程など、改まった文書で見かける表現です。

「後記のとおり」と書く場合は、その後に具体的な事項が続く構成になります。

「下記」は、この文より下に配置した箇条書きや表を示すときに便利な表現です。

「詳細は下記をご確認ください」の後には、日程や手続き、連絡先などをまとめて示すと自然です。

  • すでに説明した内容を指す場合:前述、先述、上述
  • 現在話題にしている対象を指す場合:当該
  • 後から示す内容を指す場合:後記、下記

言葉の意味だけでなく、内容が文書のどこにあるかまで確認すると、指示語による分かりにくさを減らせます。

例文でわかる「前記」と「上記」の自然な使い方

「前記」と「上記」の違いとは?意味と使い分けを例文で解説

「前記」と「上記」は、どちらも前に示した内容を受ける表現ですが、参照したい内容が文章の中にあるのか、すぐ上にまとまっているのかによって、自然な書き方が変わります。

迷ったときは、読み手が参照先をすぐに見つけられる文になっているかを確認すると安心です。

表現だけで指し示さず、項目名・日付・資料名なども添えると、ビジネス文書ではさらに伝わりやすくなります。

「前記」を使った例文

「前記」は、文書内で先に取り上げた事項や、すでに定義した内容を受けるときに使いやすい表現です。

特に、規程・申請書・案内文などでは、同じ対象を繰り返し説明せずに済むため、文章を整えやすくなります。

例文 使い方のポイント
前記の申込内容に変更がある場合は、担当者までご連絡ください。 前の段落で申込内容を説明している場合に自然
前記第2項に定める提出期限は、やむを得ない事情がある場合に限り変更できるものとします。 条項を明示して参照先を絞る書き方
前記の条件を満たす方を対象として、追加募集を行います。 直前までに条件を具体的に列挙している場合に使える
前記手続きの完了後、受付結果をメールでお知らせします。 一連の手順を説明した後のまとめに向く

たとえば、「前記の条件」とだけ書く場合は、どの条件を指すのかが文章の流れから明確であることが大切です。

条件が複数の段落に分かれている場合は、「前記の参加条件および提出書類」のように、対象を補うと読みやすくなります。

また、同じ文書内で何度も「前記」を使うと、読み手が前の箇所を探しにくくなることがあります。

そのようなときは、「第2項の提出書類」「申込フォームに記載の連絡先」のように具体化する方法が便利です。

「上記」を使った例文

「上記」は、すぐ上に配置した文章・箇条書き・表などをまとめて受ける場面で自然です。

メールや社内連絡では、本文の上部に要点を整理したうえで「上記」を使うと、内容を簡潔に締められます。

例文 使い方のポイント
上記の日程で問題がないか、ご確認をお願いいたします。 直前に候補日を記載している場合に使える
上記3点の資料を、金曜日までにお送りください。 直上の箇条書きが3項目であることを示せる
上記内容をご確認のうえ、ご返信いただけますと幸いです。 メール末尾で要件をまとめる場合に向く
上記の変更に伴い、当日の受付開始時刻も変更となります。 すぐ前に変更内容を示している場合に自然

「上記内容をご確認ください」は便利な表現ですが、本文が長い場合には何を確認すればよいのか伝わりにくくなることがあります。

その場合は、「上記の日程および参加方法をご確認ください」のように、確認してほしい項目を加えると親切です。

箇条書きの直後であれば、「上記3点」「上記の必要書類」のように数や名称を示す書き方も役立ちます。

参照先を具体的にしたビジネス文書の例文

ビジネス文書では、「前記」や「上記」だけに頼らず、参照先の見出しや対象を添えることが重要です。

とくに、転送される可能性があるメールや、複数人が確認する資料では、単独で読んでも内容をたどりやすい表現を意識するとよいでしょう。

  • 簡潔な書き方:上記の件について、ご確認をお願いいたします
  • 具体的な書き方:上記の納品予定日について、ご確認をお願いいたします
  • 簡潔な書き方:前記の内容に基づき、手続きを進めます
  • 具体的な書き方:前記「申請から承認までの流れ」に基づき、手続きを進めます

次のように、文書の種類や場面に合わせて参照先を補うと、より自然な印象になります。

場面 例文
日程調整のメール 上記の打ち合わせ候補日のうち、ご都合のよい日時をお知らせください。
社内案内 前記の申請条件を満たす場合は、所定のフォームからお申し込みください。
会議資料 上記の売上見込みを踏まえ、次月の計画を検討します。
手続きの連絡 前記「提出書類」の準備が整いましたら、担当窓口へご提出ください。

書いた後は、「前記」または「上記」が指す内容を、初めて読む人でも迷わず見つけられるか確認してみてください。

参照先を一言具体化するだけで、文章の分かりやすさは大きく変わります。

まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 「前記」は文章の前に述べた内容を指し、「上記」は現在の箇所より上にある記載を指す表現です。
  • 文章の流れを重視するなら「前記」、見た目の位置を示すなら「上記」がなじみます。
  • ビジネスメールでは、相手が参照先をすぐ見つけられる書き方を優先することが大切です。
  • 契約書や公文書では、表記を統一し、条項番号や別紙名などで参照先を明確にします。
  • 特許請求の範囲では「前記」がよく用いられ、構成要素との対応関係を明確にする必要があります。
  • 「上記のとおり」と「前記のとおり」はどちらも使えますが、指したい方向に合わせて選びます。
  • 「前述」「先述」「上述」「当該」は意味や使う場面が異なるため、安易に置き換えないことが大切です。
  • 迷ったときは、項目名・日付・資料名などを添え、誰が読んでも参照先を特定できるようにします。

「前記」と「上記」は似た言葉ですが、文章の流れを見るか、文書内の位置を見るかによって、自然な選び方が変わります。

日常的なメールでは厳密に考えすぎず、相手が迷わず確認できる表現を選べば十分です。

一方で、長い文書や重要な書類では、言葉だけに頼らず、見出しや番号を添えると内容がより伝わりやすくなります。

少し意識するだけで文章の分かりやすさは変わるので、これからは参照先の見つけやすさを基準に使い分けてみてください。

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